「その割には実力がない」と笑われるかも知れません。でも、この仕事のプロとして16年。それ以前のセミプロ時代(勤務をしながら、夜間や休日の話し方スクールの講師をしていました。)を含めると30年以上になります。多くの皆様にご支援をいただき、長いお付き合いをさせていただいております。私のことをよく理解してくださる方々が、冗談交じりに「ガンではないでしょうね?」と、このところ心配してくださいます。「多分そんな気がします。」と応えています。今年に入ってから『講義の雰囲気が違う』『執筆のタッチが違う』それが理由のようです。最近の講義の語り口や執筆原稿の行間から、時々、余命がないような感じがするのだそうです。(本人は、それだけ真剣だとほめられていると思いたいのですが・・・)
昨年あたりから、私の中で何かが動いているのです。友人からいただいた招待券で、よく観劇を楽しませていただきます。1日2回の1ケ月公演をこなす精神力・体力に感心します。それ以上に感心するのは、その他大勢の台詞もない端役の皆さんの姿勢に対してです。私は、主役よりも端役の立ち居振る舞いをオペラグラスでよく観ます。端役でも手抜き工事は絶対しません。さすがプロと脱帽です。学校の先生が教え子に強姦するなどの不祥事が多発していた頃、飲み屋で隣り合わせた高校の先生に「どう思うか?」と尋ねたら「公立のアホ教師のおかげで大助かりですよ」との返事。唖然としていると「私立校は、生徒が集まってなんぼの仕事。」とか。公立校の不祥事があると、生徒が私立に流れて大助かりなのだそうです。価値観の多様化が身にしみました。数年前までは、世間からは3流4流呼ばわりをされていました。でも今では、大卒の採用も珍しくない業界があります。その業界のテナントとして店内でワゴンサービスをしている多くの女性がいます。縁があり店長クラスの研修をしました。高卒がほとんどで中退組もいます。普通ならば遊びこけている年齢の人たちです。(20歳から23歳くらいです)その女性たちが、仕入れ・アルバイトのローテーション管理・売り上げ管理までほとんどを任されて頑張っています。私は、その若さでその力量を心底凄いと驚嘆しました。失礼ながら、研修では、少し難しい漢字になると読めない人もいました。でも「分かりません。教えてください。」と実に謙虚です。そして、とても熱心で意欲的に研修に参加しています。自治体職員の高学歴化・一流大卒化は、もう珍しくありません。ならばそれにふさわしい知識や行動に期待したいものです。“冷めている、仕方なく座っている、常識を知らない、係長にもなって研修中にガムを噛んだり飴をなめている”そんなアホには、彼女たちの爪の垢でも煎じて飲ましてあげたいと思うのです。(そんな輩には爪の垢でも飲ますのが惜しい気もいたしますが・・・)
これで何かが動かなければ、私は本当の末期ガンでしょう。よい治療薬を探し求めての旅は、まだまだ続きそうです。研修担当者の皆さん、いま、あなたの心では何が動いていますか?
公職研発刊「地方自治 職員研修」のシリーズ【厳しい時代の職場づくり、人づくり】10月号『求められる研修担当者の手腕・後編』では、頑張り屋研修スタッフの素晴らしい取り組みについてご紹介いたします。ぜひ、お読みください。
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