2005年分
敏感な職員の育成(所感) 2005年12月

 研修参加者の皆さんに「指定管理者制度って何ですか?」と質問することがあります。管理職は別としまして、一般職員の認知度は1割にも達しません。自治体の仕事に携わっていなければ私も「知りません」の一人になると思います。でも、やはり自治体職員の皆さんにはその程度のことは知っていてほしいと思うのです。

 公共サービスの担い手を多様化するPPP(Public Private Partnership:公共サービスの民間開放)の流れが活発です。「指定管理者制度」は『公の施設』の管理を民間企業・NPOなどが行うことを可能にする制度です。2003年9月の地方自治法の改正により施行となりました。対象は、文化(市民)ホール・総合体育施設・健康管理施設・図書館などがあげられます。(道路・下水道事業施設なども含まれます)地方自治体は、従来の管理委託制度に基づいて第三セクターなどに委託している『公の施設』の管理を直接行うか、指定管理者制度に移行するかを、2006年9月までに決めなければなりません。私の住んでいる市では、図書館がこの制度で運営されています。年間、1000万円近くのコスト削減に寄与しています。特に今年は本格的な動きがありましたが、民間企業が指定管理者になったのは導入施設全体の8.4%程度だそうです。

 この制度とは別な民間開放を促進する手法の一つが、いま検討されています。これは驚き!!役所の窓口を担当している職員はビックリ・真っ青な案です。オリックスの宮内良彦代表執行役会長を議長とする規制改革・民間開放推進会議が今年度中の国会提出を目指して『公共サービス効率化法(市場化テスト法)案』(仮称)の骨子を検討しています。こちらの対象は、戸籍謄本や印鑑登録証明書の交付請求の受付など6業務(外国人登録原票・納税証明書・住民票の写し・戸籍の付票の交付請求と引き渡しなど)が含まれています。委託だけではなく譲渡の方法も検討されているのです。世の中は凄いスピードで流れ変化しています。それらに敏感な職員を育成することも研修担当者の重要な仕事ではないでしょうか!?

 感謝を込めて本年最後の配信とさせていただきます。よい年末年始をお過ごしください。来年もよろしくお願いいたします。
 
 

研修の効果測定 2005年11月

 アップが遅れておりましたが、「話の宝石箱」と併せて11月1日分の配信です。「話し方必勝法」は、トラブルが解消できました。今週末、配信を開始いたします。ご了承ください。

 先日、ある大手の自治体研修所から『研修効果測定の研修』に関する問い合わせをいただきました。参加者の皆さんは、各市町村の研修担当の方々です。研修を事業とする会社にとっては願ってもない話です。うまくすればその研修がきっかけで、市町村単独研修の委託につながることも十分可能性があるからです。でも、私はその研修をお断りいたしました。大変失礼いたしました。お許しください。研修を担当することに自信がないからではありません。その類の研修のノウハウも持っていますし実績もあります。でも、結果的にお断りしてしまいました。「おいしい話を逃す手はないだろうに!」と仲間からお叱りも受けました。自分でもそんな思いがない訳ではありません。ただ、率直に自分の考えを述べるべき、と判断しての結果だったのです。

 行政評価などがクローズアップされると、自然と『研修の効果測定』なども話題になります。当然のことかも知れません。ただ、失礼ですが『研修の効果測定』とはそんなに簡単なものではないのです。真面目に取り組めば取り組むほど、それは膨大で大変な作業となるのです。そのことに意外と気がつかないのです。研修コスト(参加者の人件費、会場費、講師謝礼など)の把握、ニーズ調査、研修事業の目標による管理、アンケート用紙(様式)の設計(すべて研修別に設計しなければならないのです)、アンケートの分析とフィードバック、それに関するアクション・・・・この程度は、まだ序の口です。参加者への理解度テスト、実践度の追跡調査、派遣所属長へのヒアリングなど多岐に亘り、その作業の壮大さに唖然とするはずです。

 “自分で自分の首をしめる”ことの恐ろしさを知ったとき、必ず二の足を踏むはずです。研修担当が兼務。2〜3年で担当者が異動する。『研修の効果測定』は、そのような実情の中で、おいそれとできるシロモノではない、と私は考えるのです。ですから、仕事欲しさのために安易に受けては失礼。それが私の思いなのです。お互いに、議論して納得しなければ意義ある研修はできないと思うのです。

 

コーチング研修への考察4 2005年10月

 配信が遅れてしまいました。「徹夜してでも」との思いで頑張ってきましたが、身体が言うことを聞いてくれません。激務が続き過ぎました。何とぞ、ご了承ください。本考察は、とりあえず今回で一区切りとします。

 話は変わりますが、私は人事考課(評価、評定)をする立場の皆さんの研修(人事考課者訓練)も担当しています。お客さまには、年1回3年間受講を提案してきました。つまり、3回の研修を受けていただくよう義務化をお願いしてきました。それでも、完全に理解していただいているとは言いがたい参加者も見受けられます。しかし、人が人を評価する訳ですからいい加減にはできません。必ずフォローアップ研修が必要です。

 そこで本題です。コーチング研修も、全く同じです。一度くらい実施しても、それは“ただ実施した”程度のものです。コーチングの技術を理解しても、実践にはなかなか結び付かないのが現実でしょう。習っても、なかなか要領がつかめないのです。コーチングは理屈ではありません。ひたすら声にだすことが重要なのです。そのためには、相当意識して日常のやりとり(会話に)に反映させなければなりません。ですから、人事考課者訓練と同様、フォローアップ研修とセットで考える必要がある、と私は強く思います。

 自治体の研修担当の皆さんにおかれましては、そろそろ18年度の予算編成に入られる時期かと思います。自分の組織にどのような研修が必要かを真剣に考えてください。考察してきました「コーチング研修」も、素晴らしい育成技術であることは否定いたしません。企画や担当講師の見識が問われる研修だと思っています。
 

コーチング研修への考察3 2005年9月

 考察2では、コーチをする側の成熟レベルの育成意欲について述べました。今回は、両者(コーチをする側と受ける側)のスキルの高さについて考えてみましょう。

 何を基準にレベルの高低を論じるか、そのことはもちろん研究しなければなりません。ただここでは、一般的な(俗に言う)レベルと考えてください。指導・教育には、4つの段階(技術)があります。ティーチング・トレーニング及びカウンセリング(コンサルティング)・コーチングなどがそれです。前者は平均レベル以下に、後者は平均レベル以上の場合に有効と言われています。

 その視点で見ると2つのことが考察できます。1つはコーチをする側と受ける側のスキルのレベルについてです。『研修はレベルの把握が大切』、と常々述べてきました。そのためには体系的な研修が欠かせません。満足な文章を欠けない人に、企画力や政策形成の研修は無理なのです。つまり、そのような場合は、文章の書き方の研修を優先させなければならないのです。コーチングは、両者に高いスキルがあることが前提条件となるのです。そのためには、研修担当の皆さんの現状把握や“目利きが肝心”(2005年1月配信参照)です。2つ目は、指導方法のウエイトについてです。本来、指導・教育とは単独で行われるものではありません。部下や後輩の成熟レベルに応じて、前述の4つの技術をウエイト付けして組み合わせて行うものなのです。新人には、ティーチングとトレーニングがほとんどと言っても過言ではありません。

 『コーチングこそが最高の指導・教育法』などと声だかにPRする人を、失礼ですが、私はあまり信用できないのです。
 
  

コーチング研修への考察2 2005年8月

 考察1では、コーチング(Coaching)研修に賛同できなかった私個人の問題を述べさせていただきました。そして、『私の使用するコーチング研修テキストの冒頭には、「いま、皆さんも私も厳しい扉を開けようとしているのだ」と記してあります。』と紹介いたしました。考察2では、コーチをする側の成熟レベル(意欲の高さとスキルの高さ)について考えてみましょう。

 私自身が歳をとったせいか、同世代の管理監督者(部課長級、係長級)の研修を依頼される機会が増えてきました。研修の切り口は違っても、研修のテーマはリーダーシップ(率先垂範)や部下後輩の指導育成が中心となります。それらの研修を担当して思うことがあります。一概には言えませんが、参加者の皆さんに“育てる”意識、『共育』という感覚があまり感じられないのです。団塊の世代の皆さんなどは特にその傾向が見受けられます。また、平均年齢が40代の係長級(自治体での現状です)の皆さんに、昇格志向や昇格意欲がありません。苦労のわりに年収がアップしないので管理職に成りたがらない症候群も増えています。

 このような現実の中で、コーチング研修が花盛りです。流行とは理屈などいらないものなのでしょうが、私には釈然としません。コーチングは、素晴らしい哲学のある育成方法です。それだけに、大事に考えたいと思うのです。『定員18名、部下の育成を本気で考える人に限る』。そんな形で研修ができたら幸せです。

  お願い:都合により次回配信を9月4日とさせていただきます。
       ご了承ください。
  

コーチング研修への考察1 2005年8月

 コーチング(Coaching)は、部下や後輩(コーチを受ける人)に「期待」と「関心」を持ち、成長に必要なポイントを気づかせることで自己啓発させ、成長を促す指導育成法の一つです。新しいマネージメントスキル、あるいはコミュニケーションスキルなどと言われ注目を浴びています。従来の上下関係で技術や知識を指導・伝承したティーチングやトレーニングは、縦型社会的な『主従関係』が色濃くあります。しかし、コーチングには横型社会的な『対等の関係』が求められます。それは『協働的な人間関係』であり、パートナーを意味します。一見、耳に心地よく聞こえるフレーズです。しかし、そう簡単な指導育成法ではありません。これまで私は、この分野の研修に距離をおいてきました。さらに、「研修は流行に走らず、組織のニーズやレベルを把握して行うべきである」と警鐘を鳴らしてきました。その理由を、コーチング研修をとおして考察してみます。回数は4〜5回程度ですが、納得いただけるボリュームと内容を配信させていただきます。このページは毎月1日が配信日ですが、月2回を目標に特別臨時配信いたします。

 1回目は、距離を置かざるを得なかった私個人の問題を述べることにしましょう。コーチングは、単なる技術や方法論ではありません。それを支える深い考え方=哲学があります。中でも、「その人(コーチを受ける人)が必要とする答えはすべてその人の中にある」。この考えには苦悩させられました。言葉をかえれば「答えを教えてはならない=指導してはいけない」、という意味なのです。私たちの世代は、自分で答え(考え方、対処法)を持っていなかったら、管理監督者にはなれない時代を生きてきたのです。若きリーダーとて同じことです。答えを持っていたからこそ抜擢もされてきたのです。まして、私が関わってきた分野は、ティーチングとトレーニングの領域です。自分の答え(考えや技術)を教えることが仕事なのです。コーチングでは、自分の答えを一旦(あるいは永遠に)棚上げできる器の大きさが不可欠になります。もう一つ、コーチをする側には、受ける側以上の成熟レベル(意欲の高さとスキルの高さ)が求められるのです。そこには、“優れた人間力、人生観を越える”という高いハードルがあるのです。つまり、私には『仏様、お釈迦様の世界』に見えてくるのです。

 指導者としての生き方、研修のあるべき姿を真摯に考えれば考えるほど厚い壁だったのです。立場を変えれば、この研修に参加する皆さんにも同じことが言えます。部下や後輩を本気で育てる意志がなければ、この研修は意味をなさないのです。私の使用するコーチング研修テキストの冒頭には、『いま、皆さんも私も厳しい扉を開けようとしているのだ』と記してあります。
 

逆アンケート 2005年7月

 このページの2003年10月〜12月にかけて、「アンケートから何を読むか」と題して前編・中編・後編を配信いたしました。かなり真面目に私の思いを書かせていただいたつもりです。ただ、その思いがどの程度伝わったかは、少々疑問も残ります。アンケートを読む目を養うこと、それをどう活用するかなど、まだまだ研修担当者の皆さんには課題が多いようです。

 そもそもアンケートが一方的なのに腑に落ちない思いがありました。(誤解のないようにお読みください。研修レポートやヒアリングでの感想を求められることも多々あります。これは貴重なことだと思います。)99%の参加者が良としているのに、まったく拒否反応に満ちたアンケートを目にすることがあります。年間にお会いする1万人ほどの皆さんのうち、3〜5人程度ですから相手にする価値もないのですが腹が立ちます。私が経営者だったら即刻首にします。研修だってフェアプレーが大切なのです。昨年、月刊誌の記事にも書きましたが、“研修とは何かをまったく分かっていない”担当者の仕事は受けないようにしました。(生意気かもしれませんが・・・)ですから私は、可能な限りお礼を兼ねて担当講師としての感想をお届けしています。

 最近、とても感心した自治体があります。腑に落ちない思いが完全に払拭されました。素晴らしい逆アンケートに出会ったのです。U市研修担当者の賢明さに胸がスッとしました。講師から見た研修参加者に対するアンケートが実にきめ細やかなのです。それは、A4,2枚に及びます。1枚目は、すべての質問に4段階や3段階で評価しコメントを付記するものです。良かったが4、概ね良かった3、やや悪かった2、悪かった1 のようになります。設問によってこの文言が若干変わります。「普通」がないのが気に入りました。設問は、【研修生の態度】【演習や討議時の様子】【講義時間】【研修生の人数】【研修内容の理解度】【講師の満足度】などが続きます。2枚目は、記述式で問うものです。【今回の研修の改善点など、研修担当へのご要望がありましたらご記入ください】【本市職員と、他の自治体や民間企業の研修生を比較した印象をお聞かせください。(特に劣っていると思われる能力や態度)】【その他今回の研修全体について、ご意見等をご自由にご記入ください】などの設問です。

 “研修は三位一体”が私の持論です。「主催事務局」「研修参加者」「担当講師」の思いが一緒にならなければ良い研修は実現しないと思います。研修ご担当の皆さんの偉さを逆アンケートに垣間見ました。
 

クレーム対応能力 2005年6月

 自治体の接遇(応対)能力は、ここ数年で見違えるように向上しました。にもかかわらず、クレームはいっこうに減りません。不景気を反映してか、やつ当たり的なクレームも多く、むしろ増加傾向にあります。理不尽な住民でも塩を撒いて追い返す訳にはいきません。それが自治体における接遇の宿命なのです。押し寄せるクレームにどう対応するか、その力量が問われています。

 最近、接遇研修の傾向が変わってきました。さわやかさや感じのよい応対の基本研修は欠かせませんが、『クレーム対応』に特化した研修が急増しています。これは、自治体の接遇レベルが低下したことが要因ではありません。自然の道理なのです。義務を盾に権利を主張する住民が増えたのです。介護保険料を払っているのだからよいサービスをするのはあたり前、保育料を払っているのだから子どもの面倒をしっかりみるのが当然、そんな風潮が目立つ世の中になっただけです。"大目にみる"という言葉があります。かつて、自治体職員の給料や労働時間・労働環境などは、民間と比べてかなり低いレベルにありました。ですから職員と住民の間に、公務員=奉職者という等式がお互いに成り立っていました。住民側にも"一々、目くじらを立てなくとも"という大目にみる土壌があったのです。でも、いまは給料にしても、労働時間・労働環境にしても逆転しました。民間から比べればかなりの厚遇です。"大目に見る"から"厳しく見る"に変わるのは当然の心理でしょう。ですから、クレームを読む視点を変えないと、いつまで経っても被害者意識からの脱却ができません。接遇研修も第二ステージを迎えた気がいたします。有効なクレーム処理の環境整備に力を入れる必要があります。クレームも危機管理の対象ととらえなければならないのです。その視点に立った上での『クレーム対応』に特化した研修にしなければなりません。そのように考えないとクレーム対応マニュアルの持つ意義や必要性が見えてこないのです。

 おかげさまで、私の考えに共鳴してくださる自治体が増えつつあります。研修をとおして、参加者や主催者の皆さんからも多くの知恵をいただくことができます。その知恵を次の研修にフィードバックしながら、もっと良い方法はないかと研究しています。
 

MBOは定着するか 2005年5月

 TOBと勘違いしそうな略称です。一般的に"目標管理"と呼ばれていますが、"目標による管理"が正式名です。「望ましい目標を設定し、達成に向けて導いていくマネージメント」と定義できます。経営学者ドラッカーによって開発されました。(1950年代、著書「現代の経営」の中で"目標管理"という言葉が初めて使われました)

 英語では、「Management By Objectives (and Self control)」略してMBOとも呼ばれています。人事考課の育成面談や人材育成のコーチングなどの一環(連動)としても活用されます。

 近年、MBOの研修が自治体に驚くほど拡がっています。特に真新しい手法とも思えませんので、「なぜ?」と思うことが度々あります。多くのことを学ぶことはとても大切なことです。ですから、そのこと自体を否定する気は毛頭ありません。

 ただ知識学習の領域で終わらせてほしくないとの思いが強いのです。経営センス(人・物・金への管理意識)がベースになければ功を奏しません。組織風土にその土壌が培われているかを、しっかりと点検する必要があります。何事にも順番や優先順位があります。そのことへの検証が大切です。

 そして、もっと大切なことは、研修担当者自身による効果の追跡調査(測定)です。目標意識を持たせることがMBOのねらいではない、と私は思います。
 

研修以前の研修 2005年4月

 研修で使用するテキストがすべてオリジナルであることは、以前にも述べさせていただきました。そして、そのほとんどを私が作成いたします。昨年のいつ頃からか、テキストの中に、次のような内容を盛り込む機会が多くなりました。『教育や研修のキーワードを、どんどん絞り込み、突き詰めて考えていくと意外なことに驚く。なんとそれらのキーワードは、小学生で教わるようなことに落ち着くのだ。「きちんとあいさつをしましょう」「ハイ、と返事をしましょう」「他の人に迷惑をかけないようにしましょう」「お世話になったらお礼をいいましょう」「約束は守りましょう」「相手のことを思いやりましょう」 などのように・・・』 と、こんな文面です。そして私は、真面目にそのことを講義しているのです。対象者が若い方に限ってではありません。もちろん、参加者の皆さんが全員大人ですから創意工夫した上での話です。

 研修のテキストや関連資料を送付させていただく際に、『研修時のお願い』と題して、かなり決め細やかに依頼事項などを記させていただきます。会場のレイアウト、資料の印刷方法や綴じ方、事前課題の有無、必要な備品や機材など、結構多岐に亘ります。その中に、躊躇しましたが今年から次の内容、『●お願い(失礼ながら、この項目はすべてのお客さまにお願いさせていただくことといたしました)1.講師が事前情報として知っておくべきことなどがございましたらお知らせください。(例:体調の悪い方、妊娠中で安全が必要な方、身体の不自由な方がいらっしゃる等)2.研修中に体調調整の理由などで飲料を必要とする方がいましたら講師にその旨お話ください。3.研修中の飲食・飲料は厳禁です。飴をなめたりガムを噛んだりしないように徹底してください。(休憩中はその限りではありません)4.やむを得ない理由でも、半日以上席をはずす場合は、原則として参加を辞退されることを希望いたします。(最終的には、主催部門の判断にお任せいたします)5.参加意欲のない方、不真面目な方は主催部門と協議の上、退席をしていただく場合がございます。ご承知おきください。』を追加させていただきました。

 この二つの話から、私の言いたいことをお汲み取りください。世の中が乱れているように、研修の現場でも同じようなことが言えるのです。研修以前の研修が問われています。但し、これらの現象がすべてに共通ではありません。質の自治体間格差、企業間格差が凄いスピードで進んでいるのです。おりしも、新人研修のスタートです。肝に銘じて事に当たっていただきたいと思っております。


研修の醍醐味 2005年3月

おかげさまで、このホームページの世界閲覧ランキングが10万番目を切りそうです。

 昨年の秋、やけに忙しいので「何でこんなに忙しいんだ!」と事務方に言いました。「当然でしょう。例年2月予定の大半が秋に変更になっているんですから・・・」とつれない返事です。そう言われて2月の予定表を見て愕然としました。例年の3割弱しか予定が埋まっていないのです。3月はもともとシーズンオフですから気にはしないのですが、2月がこの状態では、と少々あせりました。仲間が言いました。「高橋さんがそんな心配をするときは心配ないのよ」と。仲間の予想が的中しました。年明けから仕事に追われ、先週まで「何でこんなに忙しいんだ!」と事務方にまた言っていました。"おかげさまで"ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。先が見えない仕事だけに不安も大きいのですが、晴れ晴れとした気持ちで年度末を迎えました。ありがとうございました。

 2月も本当に忙しく辛い毎日でしたが、嬉しい体験もしました。本来あるべき研修の姿を、主催事務局・研修参加者・そして担当講師の私で共有できました。それは"手応え"であり"研修の醍醐味"でした。N市での課長研修(2日間コース)の事前にいただいた名簿の参加者は23名でした。私は、当日の参加者を19名程度と踏んでいました。当日、研修開始5分前23名全員が揃いました。失礼を心の中で詫びました。参加者の皆さんの意欲も抜群、事務局の気くばりも完璧、私の指導も最高?とても良い気分でした。W県では、全員が公募による自主参加の研修を担当させていただきました。定員40名に倍以上の応募があり、抽選にするのはしのびないとの主催事務局の配慮で急遽追加開催された研修です。40名以上で実習中心の研修は大変でした。でも、皆さんの目の輝きが違います。疲れた体を癒してくださるのです。共に頑張った2日間でした。研修担当の方は今回でその任から離れます。彼もまた一回り大きくなっていました。M市の研修では、私の次の移動のため渋滞の中、担当係長が必死に駅まで送ってくださいました。危機一髪、宮崎行きの最終便に間に合いました。参加者のレベルも高く満足いたしました。A市の研修も"さすが!"と私をうならせました。N病院での研修では、ドクター・看護師・技師の皆さんが一緒のテーブルで研修を受けてくださいました。温泉上がりの懇親会も最高でした。年度末の仕事がとても充実したものでした。(まだまだ感激した研修があるのですが、割愛をお許しください)

 研修の醍醐味は、主催事務局・研修参加者・担当講師が三位一体になってこそ得られることを再確認いたしました。17年度も良い時間を共有したいと願っております。
 

需要と供給のバランス 2005年2月

 おかげさまで、このホームページの世界閲覧ランキングが13万番目を切りそうです。

 資本主義経済では、ものの価値や値段が需要と供給のバランスで決まるのは至極当然のことです。私たち研修事業に携わる者にとってもそれは全く同じです。バブル全盛の頃、多くの研修会社は法外な講座料金を請求し、民間企業もそれに戸惑うことなく応じていました。そんな中で自治体の研修担当者は、研修予算の捻出と講師の確保に苦労していました。今から12年〜15年前くらいの話です。当時、その渦中の中で研修担当者だった多くの皆さんは、いま自治体の上級管理職として活躍しています。既に定年で退職した方もいらっしゃいます。

 バブルが崩壊して、研修も需要と供給のバランスが逆転しました。今は、バブル全盛の頃、自治体の研修など見向きもしなかった研修会社が自治体に活路を求めて必死です。

 私はかつて勤めていた会社で営業とバイヤー(購買)の経験をしました。物を買う立場でも品薄の場合は、営業マンに頭を下げて納品していただくこともありました。その逆の場合は、随分と横柄な態度をとっていたこともあります。ですから、この仕事に転職したときは、そのことを反省し自分を戒めるように決意しました。バブルが弾けても、私が生き延びられたのはその精神のおかげだと思っています。しかし、時代はどんどん変わっています。いま多くの研修担当者の皆さんが、過去のことを知りません。当然のことでしょうし、知る必要もないのかもしれません。ただ、損得を抜きにして自治体研修に携わってきた多くの人がいることも忘れて欲しくはないのです。

 「させていただく」「していただく」。研修を受ける側と依頼する側に、この阿吽の呼吸がなければ良い成果は収められないと思います。そのためには、お互いに"驕らない"ことが大切と思うこの頃です。
 

『目利き』が肝心 2005年1月

 明けましておめでとうございます。旧年中は格別のご支援をいただき、ありがとうございました。本年も、よろしくお願いいたします。先月の配信で、世界の閲覧順位が319,505番目であることをご紹介いたしました。これは過去3ケ月の平均で、毎週1回順位が更新されるものであることが判明いたしました。そして、週単位や日単位で閲覧できることもつい最近分かりました。今日現在の3ケ月の平均の順位は、212,716番目です。1週間の平均は、84,603番目でした。確実に読んでくださる方々が増えているようです。今年も頑張って配信させていただきます。気を良くして、「話し方必勝法」「今週の玉手箱」を増設いたしました。こちらも従来の「話の宝石箱」と併せてご覧ください。

 研修の年間計画が決まるのが年々遅くなっているような気がします。予算縮小の影響でどの研修コースを廃止するか、逆に時代に求められる研修の新設も考えなければならない、そのようなことが理由ではないかと推察しています。やっかいで頭が痛くなる問題です。時には、不本意ながらも上司の意向に沿わなければならないこともあるでしょう。トップが替わると研修の内容が変わる、それは珍しいことではありません。ただ、中には研修をかき回す人がいます。本当に困ったものです。"体裁を取繕うための研修"そんな研修も現実にあります。仕事が減っているために、研修会社の営業トークも巧みになっています。それだけに、研修担当者の真価が問われる時代、と言っても過言ではありません。

 ものの価値を値決めするには『目利き』が肝心です。研修も同じです。だから、研修担当者は、人一倍勉強しなければならないのです。ここ1〜2年、自治体から『研修企画書』の提出を求められることが多くなりました。そのこと自体を否定する気は毛頭ありません。むしろ良い傾向だと思っています。但し、提出を求める側に『目利き』能力が備わっていなければ意味がありません。それ以前の問題もあります。コンセプトやニーズが抽象的で企画書に反映できない、ニーズの羅列だけで研修の適正時間が全く分かっていない、階層別研修の目的が把握されていない、そんなケースが結構多いのです。研修の本質が分かっていないから、結局は「研修効果」も上がらない。当然だと思います。独創性(真新しさ)だけを追いかけ過ぎて、研修が一人歩きしているような風潮が見受けられます。もっと現状(現場)をしっかりと観ることが大切です。そうすれば自ずと課題は見えてきます。そこを抜きにして研修の選択肢を語る(決める)ことはできません。目を肥やすためには、多くの研修(外部のセミナーにも)に自らが参加してみることです。"そんな予算はない"とお叱りを受けそうですが、交渉してみることです。役所の職員だからこそ研修が受けられるのです。パソコンの研修をタダで受けられるのは、役所だからこそなんですよ。交渉して駄目なら自腹を切って勉強することです。

 さあ、1年のスタートです!よい研修を企画してください。ご活躍をお祈りいたします。
 
戻る