今年は異常な忙しさだった。ただただ走り続けてきた感じがする。仕事が多ければそれだけ喜怒哀楽も多い。その度に喜んだり・怒ったり、その温度差(落差)に悩まされる1年でもあった。この夏、ある自治体から講演を頼まれた。女性が多かったので講演の最後に『前向きに生きる女性』の話をさせていただいた。
かなり昔のことである。ある研修先ですこぶる明るい女性と出会った。彼女が居るせいか、その班は研修が進むとともに活気がありとても盛り上がっていた。その女性に声をかけた。「あなたの明るさは素晴らしい財産ですね!どうしてそんなに明るく居られるんですか?」と。聞けば彼女の人生観を変えたのは息子さんだと言う。息子さんは難病で余命は長くて20歳くらいまでとのことだった。辛い話をさせてしまった。神を恨み涙で明けくれ、後ろ向きにばかり生きてきたという。しかし、息子さんの余命を宣告されたとき、本人の前では二度と暗い顔をするのはやめようと誓ったと言う。それから数年が経ち、今では他の人からも私が言ったようなことをよく言われるとのことだ。そんな話を気負うことなく淡々と話してくださったのである。とても感激したその話で講演を締めくくった。
講演を終えると私にある女性が話しかけてきた。話しかけられた矢先に彼女の目からドッと涙が溢れた。驚く私に今度は泣き笑顔で語ってくれた。聞けば大事な娘さんを半月前に亡くされたとのこと。告知はしなかったそうだ。だから娘さんの前では精一杯悟られないように明るく振舞った、と言う。でも心の中でそれで本当によかったのか、告知すべきでなかったのか・・・そんな思いが娘さんの亡き後、彼女の心を苦しめていたようだ。休暇をもらいずっと休んでいたが、この講演だけはどうしても聞きたかったので、今日から出勤したとのことである。私にとってこんな嬉しいことはない。「先生のお話を聞いて、これでよかったのね、と自信が持てました!ありがとうございました」と深々と頭を下げ立ち去った。また、教えられ元気をいただいた。
お嬢様のご冥福をお祈りいたします。いじめ問題などで自殺が絶えません。生きることの尊さを真剣に考えていただきたい、そんな思いを込めて本年最後の配信といたします。来年もよろしくお願いいたします。よい年末年始をお過ごしください。
|